千葉県内に住み始めて四半世紀以上、最近はすっかり安房LOVE状態。(安房地区とは、鋸山以南の館山市、南房総市、鴨川市、鋸南町。大昔の安房の国のエリアである。)
「なぜこんなに安房に惹かれるんだろう?」と色々考えたけど、「とりたてて何もない」ことが魅力なんだと思う。
千葉県内に住み始めて数年した頃、実家富山の親戚のおじさんから「私は日本全国あちこち旅行したけど、千葉県の先っちょの方だけは言ったことが無い。どこか良い所教えてほしい。」と言われたことがある。
その時はもちろん、千葉県の南側の安房地域に行ったこともないし、目立った観光地も無いので「いやあ、あんな所何も無いですよ。」と答えたことがある。
2010年から館山わかしおトライアスロン大会が開催され、2012年にアジアトライアスロン選手権(ロンドンオリンピックの日本代表を決める大会)が開催され、審判や大会の準備の打合せで頻繁に館山に行くようになり、さらに数々のイベントに参加するようになり、安房地域は本当に「何もない」ことをひしひしと実感している。
この「何もない」という感覚は、あくまで初見の間隔。
パッと見で、安房には日本のどこにでもある風景が広がっているからであって、よーく目を凝らしてみると、安房を構成するパーツの一つ一つがとても魅力的なものだということに気づく。
この「何もないけど、私だけがこの魅力を知っている」という満たされ感が安房の魅力なんだと思う。
昔の自分には当然、安房の魅力は伝えられないけど、今の自分も安房の魅力をうまく伝えられない。
おじさんは亡くなってしまったけど、今、生きていたとしてもやっぱり「千葉の南側ってな~んにもない所ですよ。」と説明していたに違いない。
何度も噛みしめるうちにじんわりと味が染みてくる安房地域、人に伝えられないからこそ自分の宝物なんだろう。